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10-8 バッハ・コレギウム・ジャパン [コンサート]

3月末で「使用停止」になってしまうカザルスホールで、「バッハ・コレギウム・ジャパン 結成20周年 日本大学カザルスホール 特別公演」を聴いてきた。

18時~21時まで、2回の休憩を挟んで、カザルスのアーレントオルガンをフルに生かしたオルガン作品の演奏と、カンタータ3曲。

冒頭、鈴木雅明さんがマイクを持って登場。
・20年前の結成時は、カザルスホールが本拠だったこと
・当時はまだオルガンがなかったこと
・オルガンができるのと入れ違いくらいに他のホールに移らねばならなかったこと
・でもこのオルガンを創ったアーレントさんとは昔からの友人で、ホールにもオルガンにも愛着がひとしおであること
……などなど、珍しく長いお話を聞かせてくれた。
最後に、
「今日はオルガンから始まって、長いコンサートになります。皆さん、覚悟して聴いてください」。
客席から笑い声。場があたたかくなごんで、演奏が始まった。

18時開演に間に合わず遅れてきた人も多かったけれど、カンタータが始まる頃には満席。すごい。

オルガンは、今井奈緒子さん、廣江理枝さん、鈴木雅明さんの3人の演奏。
どれか選ぶとしたら、廣江さんのブクステフーデ作品がとても印象に残った。
バロック音楽を演奏しているのに、「テンペラメントがある」なんて言ったら、褒め言葉になるのか、わからないけれども……そんな感じ。
ブクステフーデの作品がそもそもすごく面白そうだなと思った。

カンタータは、93番、177番、30番。
1992年にカザルスホールで開かれたBCJの第1回定期演奏会(「バッハ 教会カンタータ全曲シリーズⅠ」)のプログラムを再現したものだそうだ。うーん、すごい。
今でこそ満席だけれど、20年前はきっと「バッハのカンタータでコンサート?冗談でしょ」という感じだったはず。
20年でここまで……すごいことです。

3曲のカンタータのうち、最後の第30番BWV50がとても晴れやかな祝祭的な音楽で、楽しかった。

荒野で呼ばわる洗礼者ヨハネの誕生日を祝うカンタータ。(誕生日って、あったんだ……)

世俗の祝典音楽を下敷きに(転用)したカンタータなので、トランペットがないのが残念に思えるくらい、華やかでドラマティックな音楽づくり。
第1部のバスのアリアから、アルトのレチタティーヴォ~アリア、合唱へと続く流れがとても面白い。

BCJのコンサートでは異例だと思うけれど、最後、アンコールで、第30番の合唱をもう一度聞かせてくれた。

拍手喝采に応える鈴木雅明さんは、大きく手をホールの空間に差し伸べ、オルガンを指し示して、
「このホール、このオルガンに、ブラボーです、感謝です」
と言っているように見えた。
胸が熱くなった。
やっぱり、音楽っていいな。音楽家っていいな。

日本大学は、このホールをどうするつもりなんだろう!
ただのタテモノじゃないのに。
たくさんの人の夢や憧れや、美しいもの幸せなものが、この空間にこんなに満ちているのが、見えないのだろうか?


コンサートの白眉、第30番のカンタータは、まだ録音が出ていないようです。
オルガンのほうでは、ブクステフーデの作品が、鈴木雅明さんの演奏でCDが出ていました↓
今日は購入できなかったけれど、近々必ず、聴いてみよう……

2010年3月23日、主催:バッハ・コレギウム・ジャパン


  • アーティスト: 鈴木雅明,ブクステフーデ
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 1995/12/21
  • メディア: CD



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