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11-31 メッツマッハー&新日フィル [コンサート]

2011年10月15日、メッツマッハーの指揮する新日フィル、聴いてきました(@サントリーホール)。
素晴らしかった。
終演後の拍手喝采の熱っぽかったこと。


1曲目、ベートーヴェンの「レオノーレ」第3番。
オーケストラのコンサートでは、メインの料理が出てくるまえの「つきだし」みたいに置かれることの多い曲ですが……

メッツマッハーの手にかかるとこうなるんだな、と感心。
初めて聴いた曲のように新鮮で、ドラマがあって、短い曲なのにとても長く感じました。
弱音を徹底的に押さえ、各楽器の小さなソロ・フレーズも見逃さず丁寧に歌わせて……
なるほどねぇ。


次のアイヴズは『ニュー・イングランドの3つの場所』(管弦楽曲集第1番、1929完成)。
やっぱりアメリカの作品だなぁと感じさせるのは、随所に埋め込まれた民謡のせい、だけでもない気がする。ではなんのせい?と問われると困るのだけど。

とにかく、アイヴズはやっぱり相当なひねくれ者であることは確か。
第2曲、特に終盤の、はちゃめちゃっぷりはすごい。
なんたる支離滅裂、と驚き呆れてオーケストラを見つめているうちに、大盛り上がりに盛り上がって終わりました。
思わず笑い出しそうになり、ヤンヤの喝采がここで起こってもいい気がしたけれど、あいにく、まだ次のある「曲間」である。オソロシイほどしーんとした場内。
それがまた冗談みたいで、笑いをこらえるのにひと苦労でした。

続く第3曲は短くて、「まさか……いやしかし、これで終わるつもりなんだろうな。あ、ほんとに終わっちゃった……」(心のつぶやき)
中間の第2曲の終わりがアレで、最終曲の終わりがコレである。人を食っている。

もう一度聴きたい曲かと言われたら、微妙なところ。メッツマッハーのこの演奏をもう一度巻き戻せるなら、聴いてみたい気もするけれど。

でも、後になって、このコンサートで最も印象的な場面として思い出すのは、多分このアイヴズになるだろう。不思議な作品です……


最後のショスタコーヴィチ:交響曲第5番(1937初演)は、もう、すごかったのひとこと。

弦楽器の響きがなんと美しかったことか。それと同時に、1つ1つの細部も、全体の構築性も、非常にクリアな、知的な演奏。
ショスタコーヴィチの高度な知性、高い技術力、それに、聴く者を引き込み耳をそばだてさせずにはおかない強烈な情念。
堪能しました。


メッツマッハーの指揮姿は、見ていて、次に音楽がどういう方向に行くのかが手にとるようにわかる、明快な動きでした。音楽以上でも、以下でもなく。
かっこよかったです。


客席はまだ余裕のある様子。
こんなに素晴らしいコンサートなのに、曲目のせいか? どうしてもっと多くの人が聴きに来ないのか、不思議なくらい。

ブラームス第1番を含む別のプロは、10月21日、22日と続きます。
私は行けないのが残念。
メッツマッハーを体験していない人は、ぜひ。お勧めです。


↓ サイン会をしていました。持って行けば良かった……


新しい音を恐れるな 現代音楽、複数の肖像

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  • 作者: インゴ・メッツマッハー
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2010/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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