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13-1 日フィル定期 ラザレフ指揮 ラフマニノフ [コンサート]

開店休業状態にもほどがある。という感じ。
去年は結局、9回しか書き込みをしなかったんだなぁ。

でもほんとに、時間がないんです。。。

*****

今日はとても楽しいコンサートを聴くことができた。

アレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィルハーモニーのラフマニノフ二曲。

ハオチェン・チャンのピアノで、コンチェルト第2番。

出だしのピアニッシモが本当に最弱音、素晴らしい。
このワンフレーズを聴けただけでも嬉しいというものです。

上海出身、1990年生まれ!のチャンは、あの辻井伸行と優勝を分け合ったという人。
とても繊細な抒情があって、好きなタイプ。
もちろん力強く迫力もあるけれど、小さな音で歌うフレーズがとても美しくて感心。

ソロでアンコールに答えたのは、彩雲追月、という中国民謡だそうです。
これも繊細な抒情と華やかさを兼ね備えた演奏&作品でした。

後半は、ラフマニニノフ交響曲第三番。

これも弱音から始まる、でも、前半のピアノの美しさには負けてたかな。ちょっとカスレた感じがあって惜しかった。
でもあとはとにかく、曲そのものが、一瞬たりとも淀まないというか、千変万化、興趣に尽きないとはこのことかという音楽。
オケのメンバーそれぞれに映える出番が用意されていて、特に管・打楽器、ハープ、チェレスタなどなど、見ても聴いても楽しい。
全三楽章を飽きさせずに一気に聞かせてくれました。

ラザレフさんはもう最初からパワー全開。そんなに動かんでも…なんて思ってしまうけど、そこがいいところ。
いわゆる「ラザレフのドヤ顔」も見られてニヤニヤ。
よくもあんなに器用に、演奏のさなかにくるりと客席を振り向けるものだ。密かに猛特訓しているに違うない。

演奏以外でも、ラザレフさんは聴衆と心を通わせるすべを心得ていて、お客さんにだけでなく、オケのメンバーに対しても、あたたかい心づかいをする。
人柄が伝わってきて、客席もとても良いムード。
土曜日の公演が完売という人気のほどもよくわかります。
こういうコンサートだったら行きたいよね。

とにかく、気持ちの良い嬉しい演奏会でした。

ラザレフ/日フィル、また行こうっと。



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12-9 第10回国際オーボエ・コンクール記念ガラ・コンサート [コンサート]

ご無沙汰しました。
なかなかコンサートに行けなくなって、行っても書く時間がなくて、ふと気がついたら5ヵ月も記事なし……我ながらこれはヒドイ。


2012年9月28日(金)、上野文化小ホールで、オーボエの名手たちのコンサートを聴きました。
http://oboeck.jp/event_information_j.html

ものすごく楽しかったので、久しぶりに書こうと思い立った次第。

曲目もいいし(興趣に富むとはこのことか)、演奏者も目眩がするくらい素晴らしいし、上野の小ホールという小さな、響きのよい場所でコンチェルトまで聴くことができて、最高に幸せなコンサートでした。

前半は:
・ゼレンカのトリオ・ソナタ(No.6 ハ短調)
・バッハの《フーガの技法》(ハンスイェルク・シェレンベルガー編曲)よりコントラプンクトゥスNo.1,No.11。オーボエ+オーボエ・ダモーレ+コーラングレ+ファゴットの組み合わせで。
・ムソルグスキー《展覧会の絵》は、ダブルリード楽器のクインテット版(W.ショットシュテット編曲)

どれもすごく面白い。
私はとくに《フーガの技法》がスリリングで好み(オーボエの演奏は、シェレンベルガー+ブルグ)。


後半はオーボエ協奏曲。
モーツァルト(ハ長調 KV314)
ヴィヴァルディ(ハ長調 RV447)
モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 KV297b
  (オーボエ+クラリネット+ホルン+ファゴット)

モーツァルトを演奏したジェローム・ギシャールさん、
ヴィヴァルディのモーリス・ブルグさん、
あの音色、カデンツァのセンスの良さと大胆さ……それぞれ忘れがたい名演でした。

曲としてはヴィヴァルディの大胆さ・過激さに惹かれる。
それでいて、ゆったりした楽章のシンプルなメロディがどうしてこう美しいかなというくらい、歌うのだ。
チェンバロ(演奏は桒形亜樹子さん)も美しくかっこよい曲です。

ブルグさんて、いったいいくつなんだろう?
年齢を感じさせないパワーと新鮮な音楽に、満員の客席から、尊敬の念に満ちた熱い拍手喝采が送られていました。

ファゴットの吉田将さんも出ずっぱりの活躍。

やっぱり、オーボエっていいなぁ。


出演者のひとり、古部賢一さん(今回はコーラングレで参加)の演奏は、最近、平河町ミュージックスでも聴くことができました。
山田百子さんのヴァイオリンと、ベリオ《34のデュオ》から何曲かを聞かせてくれて、すごく面白かった。
オリジナルの編成(ヴァイオリン2丁)より良いかも……





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12-07 平河町ミュージックス「こんにゃく座のうたたち」 [コンサート]

さてさて、しつこいようですが、たけのこの季節です。

今日は、はるばる熊本から、堀ったばかりのたけのこが6本、届きました。
先方は神社。
毎朝、境内を眺めればそこにもここにもたけのこが……というわけで、
「そんなに好きならいくらでも送ってさしあげましょ」。
毎年、宅急便で届けてくださるのです。

たけのことなると、いささか理性を失う私。
その様子は、以前、このブログで書きました。

自分のブログを引用するというのもマヌケだけど、
毎年、けっきょく、同じ光景が展開されているので……
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=19006043

我が家には精米器があるので、
まずは玄米を2キロほど有無を言わさず(?)精米し、
アク抜きのための「ぬか」をつくります。
鷹の爪を何本かぽいぽいと放り込んで、あとはことこと、煮込むだけ。

今も、寸胴鍋に巨大なたけのこが3本、直立不動で煮られています。
とても食べきれないから、明日の朝、ご近所にお裾分け。
きっと皆、大喜びでしょう……

**********

先週、2012年4月13日(金)、
半蔵門の家具屋さん、ROGOBAで、
久しぶりに生のコンサートを聴きました。
とてもとても楽しかった。


音楽監督・座付き作曲家の萩京子さんの構成・ピアノで、
「こんにゃく座」の名優たち4人が、ソロで、アンサンブルで歌います。

前半が萩さんの曲12曲、後半は林光さんの12曲。
アンコールの「歌はどこで覚えた♪」は懐かしかったなぁ。
あっという間の2時間でした。

歌い手は、大石哲史さん、梅村博美さん、相原智枝さん、岡原真弓さん。
先日の『金色夜叉』でも聴かせていただいた方たちです。
さすが役者。
冒頭から、その場の雰囲気をふわりと優しく包み込んで、
こちらは自然にくつろいだまま、歌の世界に一緒に遊ぶことができました。

「うた」はやはり私の音楽の原点だなーと再確認。

詩人では、ブレヒトはやはりすごいと感心。
林さん作曲の『欠陥』、
4人の歌手のパフォーマンスの威力もあいまって、
忘れがたいです。
ほか、いろいろ印象的な詩がありましたが、
1つだけ挙げるなら、
萩さん作曲の石垣りんさんの『鮎』。


以下のブログは、
ほんわかいい感じの実況中継で、
コンサートの様子を詳しく伝えてくれています。

http://hirakawacho-musics.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html



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12-04 シャルール・トリオ [コンサート]

久しぶりの雨/雪。
寒い1日でした。

2012年1月20日、代々木上原のムジカーザで、オーボエ、ファゴット、ピアノの三重奏を聴いてきました。

このところ管楽器が面白くなって、ちょこちょこ出かけています。
人間くささ、ぬくもり、飄々とした味わい、ちょっとユーモラスなところ。
聴けば聴くほど、魅力が増す感じ。

このコンサートは、たまたま日本オーボエ協会のウェブサイトをのぞいていたときに見つけて、デビュー・リサイタルだというので出かけてみました。
聴きにいって良かった。とても爽やかな気持ちで帰ってきました。

オーボエ:那須いづみさん
ファゴット:村中 宏さん
ピアノ:宇根 美沙恵さん

皆まだ20代では?
特にファゴットの村中さんはまだ、芸大学部4年の若さ。
高校1年で始めた、とあるので、わずか7年でここまで? とちょっとびっくり。


演奏もフレッシュで好感の持てるものでしたが、曲目もよく考えられているなぁという印象。

モーツァルトのディヴェルティメントK240、B-Dur で幕開け。
前半のメインがジャン・フランセ晩年の作品、目玉は最後のプーランクのトリオ。
あいだに、3人それぞれのソロ。

プログラムの曲目解説、ピアノの宇根さんを筆頭にした3人連名で書かれていて、しっかりとした内容です。


プーランクは言わずと知れた名曲。
第2楽章のあの息の長い、美しい旋律を、オーボエ&ファゴットがよく歌ってくれて、とても良かった。やっぱりいい曲です……

ジャン・フランセは今年が生誕100年のメモリアル・イヤーだったのですね。
1995年作の作品。
ものすごく面白い曲でした。
ピアノがいちばん大変そうでしたが、2楽章のスケルツォ、終曲の4楽章はオーボエもファゴットも忙しい。
やれやれ無事に吹ききった、という表情に、聴き手も「良かったね~」と拍手。
そんなあたたかい雰囲気のコンサートでした。


20代でこれだけ吹ける/弾けるのは、やっぱり、神から与えられた賜物と思う。
年をとってくると、そうしみじみ感じます。

でも、音楽は年とともに、どんどん進化(深化)していくもの。
それはものすごく幸せなことなのだけど、時にすごく辛い思いもする。
無自覚に弾けている時期から、自分自身の責任で、自分の音楽を創っていかなければならないから。

10年後、20年後、30年後……
このトリオで、とは限らないとは思うけれど、どうかそれぞれが吹き(弾き)続けて、自分の音楽を深化させていってほしい、と思いました。

30年後は微妙だけど、きっと20年後なら、私も聴きに行けます。たぶん。


ソロ曲目は……

ピアノ=ドビュッシー《金色の魚》(映像第2集)
オーボエ=ボザ《ファンタジー・パストラーレ》Op.37
ファゴット=エルガー《ロマンス》Op.62












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12-03 プロコフィエフ『修道院での結婚』 [コンサート]

東京オペラ・プロデュース主催、プロコフィエフのオペラ『修道院での結婚』を観てきました(2012年1月15日、新国立劇場中劇場)。

こんな貴重な演目を生で観せてもらえるだけで嬉しい。
作曲は1940~41年、初演は戦後の1946年プラハにて。

プロコフィエフの音楽がものすごく面白かった。
歌とオケの絡みを聴いているだけで飽きない。
とくに主役4人の重唱の場面、幕切れの大団円の合唱は、もう一度リピートして聴いてみたい。

歌い手にとっては、旋律の音とりがものすごく難しそうで、しかもロシア語。
シリアスなドラマよりも難しい「喜劇」でもあるし、で、非常にチャレンジングな演目だったのでは。
出ずっぱりのメンドーザ(バリトン:村田孝高さん)の芸達者ぶり、ドン・ジェローム(テノール:塚田裕之さん)とルイーザ(ソプラノ:岩崎由美恵さん)のすかんと抜けた美しい声が、特に印象に残っています。

これもいずれ、http://www.jazztokyo.com/ にレビューが掲載される予定。

指揮:飯坂純
オケ:東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団


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12-02 ヘンデル 『ロデリンダ』 [コンサート]

METライヴビューイングの『ロデリンダ』、行ってきました。
とても面白かったので、忘れないうちに書いておきます。

いわゆるバロック・オペラ。
ヘンデルの1725年の作、リブレットはイタリア語、初演はロンドンのヘイマーケット。

作曲家はドイツ人で、初演はイギリスだけど、ジャンルとしては「イタリア・オペラ」に分類されるという、あの時代特有の珍現象。
バロック時代は、そして特にヘンデルは、現代人の想像以上にグローバルだったらしい。


METライヴビューイングは、幕間(休憩時間)のインタビューがとても面白くて好き。
今回のインタビュアーは、デボラ・ヴォイトでした。

ヴォイトがルネ・フレミングと並んでにこやかに喋っている図だけでも、なんだかスリリングな見ものです。
フレミングのインタビューの冒頭、「素晴らしかったわ!」と抱き合ったあと、まず第一声が「あら、そのカツラ、私のブリュンヒルデのかしら?」

METで主役をはるような強烈な個性の歌姫同士、微妙な仲ではなかろうかとつい思ってしまうのは、きっと下世話な勘ぐりなのでしょうけれど、この第一声には「おおっ」という感じ。
アドリブだったようで、フレミングのとっさの反応も薄いものでした。
一瞬ですが、素直に笑っていいのか迷う、微妙な出来事。


『ロデリンダ』では、重唱も合唱もほとんどなく、1人1人の歌手が代わる代わる心情を語るアリアを歌う。
しかもそれが、単純な歌詞を何度も繰り返すので長い。短縮ってできないのかなと思わず思ってしまう。
そのあたりの作法はやはり時代の古さを感じさせるけれど、フレミングが「ヘンデル作品は非常にmodernだと思う」と言っていたとおり。
人物の心情も、話の流れも、違和感なく受け止められるし、主要な登場人物6人がそれぞれどうなるのか、最後まで興味を引きつける上手いつくり。
確かに現代的、いつの時代でもおそらく共感を呼ぶであろうオペラでした。


いちばんの要と言える王様(フレミング=ロデリンダの夫)が、カストラートというのが興味深い。
現代ではカウンターテナーが代役をするほかないけれど、ファルセット(裏声)ではどうしても声の張りがなくパンチが弱いので、王様のアリアを聴くたびに違和感が……。
最後には王座を奪還する、堂々たる高貴な王様のはずが、泣いているシーンも多いし、なにやら軟弱に見えてしまうのは否めない。

声の質として、裏声とは異質の強さ、異界の響きを持っていたのが、カストラートだったのかもしれない、としきりに思いました。

(ただし、以前、録音技術が誕生する時代まで生き残った「最後のカストラート」の録音を聴いたことがありますが、高齢だったこともあってか細く弱々しい声でした。本当のところカストラートとはどういう歌手だったのか、声質や役回りも含め、謎は深い……)

とはいえ、第2幕の終わり、王と王妃とが、このオペラで唯一の二重唱を歌う場面。
ソプラノとカウンターテナー(アンドレアス・ショル)の珍しい重唱だけど、なんと美しかったことか。
死を覚悟した別れの場面。胸を衝かれる切なさでした。

バロック作品の歌い手は、「まずテクニック、テクニック、テクニック」と指揮者が語っていましたが、本当に、歌手には難しそうな音楽。反復をいかに飽きさせずに歌うかも含めて。

特に感心したのは、フレミングとメゾのプライズ。
フレミングが、「私は最初、モーツァルト歌いとしてスタートしたから」と語っていましたが、さもありなん。第1幕の嘆きのアリアなどは特に素晴らしく、感心しました。
メゾのプライズ、歌の上手さだけでなく、的確な演技で存在感あり、でした。

*****

ロデリンダ:ルネ・フレミング(S)
ベルタリード(ロデリンダの夫):アンドレアス・ショル(カウンターテナー)
エドゥイージェ(ベルタリードの妹):ステファニー・プライズ(Ms)
グリモアルド(ベルタリードの政敵):ジョセフ・カイザー(T)
ウヌルフォ(ベルタリードの忠実な友):イェスティン・デイヴィーズ(カウンターテナー)
ガリバルド(グリモアルドの友):シェン・ヤン(BsBr)

指揮:ハリー・ビケット
演出:スティーヴン・ワズワース

METでは3回目の上演。

*****

フレミングの自伝が出ています。
ガッツと可愛らしさを兼ね備えた永遠の少女という感じ。好感のもてる手記です。

魂の声 プリマドンナができるまで

魂の声 プリマドンナができるまで

  • 作者: ルネ フレミング
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 単行本



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12-01 イアン・ボストリッジ&グレアム・ジョンソン [コンサート]

新年に入って、やっと少し、余裕ができました。

年末年始はゆっくり休めたので、心機一転。
なかなか、書く時間をつくるのがひと苦労ですが、がんばってブログ再開します。

*****

2012年1月10日、東京オペラシティコンサートホールで、イアン・ボストリッジ(テノール)のリサイタルを聴きました。

《白鳥の歌》を中心に、オール・シューベルト・プロ、休憩なしの1時間半。
シューベルトにたっぷり浸る、とても幸せな時間となりました。

ピアノのグレアム・ジョンソンが素晴らしかった。
感傷の余地のないシューベルト最晩年の孤独。
ピアノの乾いた音色と、節度のきいた歌いぶりが、効果的に表現していました。

〈影法師〉はやっぱり、すごい曲だなぁ。

近々、jazztokyoにレビューが掲載される予定です。
http://www.jazztokyo.com/

*****

明日は、METライブビューイングの《ロデリンダ》(ルネ・フレミング主演)に行ってきます。最終日に駆け込みで。
http://www.shochiku.co.jp/met/program/1112/#program_05

前回はフィリップ・グラスの《サティアグラハ》に行きました。
これも感想を書きたかったけれど時間がなくて。
長かったけど~~;;
こういう機会でもないとなかなか観られない演目。
演出も良く、面白かったです。







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11-31 メッツマッハー&新日フィル [コンサート]

2011年10月15日、メッツマッハーの指揮する新日フィル、聴いてきました(@サントリーホール)。
素晴らしかった。
終演後の拍手喝采の熱っぽかったこと。


1曲目、ベートーヴェンの「レオノーレ」第3番。
オーケストラのコンサートでは、メインの料理が出てくるまえの「つきだし」みたいに置かれることの多い曲ですが……

メッツマッハーの手にかかるとこうなるんだな、と感心。
初めて聴いた曲のように新鮮で、ドラマがあって、短い曲なのにとても長く感じました。
弱音を徹底的に押さえ、各楽器の小さなソロ・フレーズも見逃さず丁寧に歌わせて……
なるほどねぇ。


次のアイヴズは『ニュー・イングランドの3つの場所』(管弦楽曲集第1番、1929完成)。
やっぱりアメリカの作品だなぁと感じさせるのは、随所に埋め込まれた民謡のせい、だけでもない気がする。ではなんのせい?と問われると困るのだけど。

とにかく、アイヴズはやっぱり相当なひねくれ者であることは確か。
第2曲、特に終盤の、はちゃめちゃっぷりはすごい。
なんたる支離滅裂、と驚き呆れてオーケストラを見つめているうちに、大盛り上がりに盛り上がって終わりました。
思わず笑い出しそうになり、ヤンヤの喝采がここで起こってもいい気がしたけれど、あいにく、まだ次のある「曲間」である。オソロシイほどしーんとした場内。
それがまた冗談みたいで、笑いをこらえるのにひと苦労でした。

続く第3曲は短くて、「まさか……いやしかし、これで終わるつもりなんだろうな。あ、ほんとに終わっちゃった……」(心のつぶやき)
中間の第2曲の終わりがアレで、最終曲の終わりがコレである。人を食っている。

もう一度聴きたい曲かと言われたら、微妙なところ。メッツマッハーのこの演奏をもう一度巻き戻せるなら、聴いてみたい気もするけれど。

でも、後になって、このコンサートで最も印象的な場面として思い出すのは、多分このアイヴズになるだろう。不思議な作品です……


最後のショスタコーヴィチ:交響曲第5番(1937初演)は、もう、すごかったのひとこと。

弦楽器の響きがなんと美しかったことか。それと同時に、1つ1つの細部も、全体の構築性も、非常にクリアな、知的な演奏。
ショスタコーヴィチの高度な知性、高い技術力、それに、聴く者を引き込み耳をそばだてさせずにはおかない強烈な情念。
堪能しました。


メッツマッハーの指揮姿は、見ていて、次に音楽がどういう方向に行くのかが手にとるようにわかる、明快な動きでした。音楽以上でも、以下でもなく。
かっこよかったです。


客席はまだ余裕のある様子。
こんなに素晴らしいコンサートなのに、曲目のせいか? どうしてもっと多くの人が聴きに来ないのか、不思議なくらい。

ブラームス第1番を含む別のプロは、10月21日、22日と続きます。
私は行けないのが残念。
メッツマッハーを体験していない人は、ぜひ。お勧めです。


↓ サイン会をしていました。持って行けば良かった……


新しい音を恐れるな 現代音楽、複数の肖像

新しい音を恐れるな 現代音楽、複数の肖像

  • 作者: インゴ・メッツマッハー
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2010/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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11-28 こんにゃく座「ゴーゴリのハナ」 [コンサート]

今日は、9月の新刊の見本ができてきました。

出来たての本の匂いが大好きです。

インクの匂い、というか、多分これは、製本のノリの匂いのほうが強いと思う。
表(表1といいます)を見て、裏(表4)を見て、オビをはずしてカバーを確認。
カバーをはずして、表紙の刷り具合と製本の状態を確認。

花切れを見て、スピン(しおり)を見て、ふーん、制作部の彼は、こういう色柄が趣味なのね、と密かに確認(このデザイナーさんは、花切れ・スピンの選択は制作部にお任せ)。

そして最後に、くんくん、と匂いをかぐ。

この瞬間があるから、どんなにきつくても本作りはやめられない、と思うのかも。


でも、匂いのあるうちはご用心、なのです。
机のうえにきちんと置き、そのへんにある重い本を何冊か乗せて、家に帰る。
間違っても、できたばかりの本を持って帰ってはいけない。

ノリの匂いがするうちは、「乾ききっていない」ということなのです。
保管のしかたを間違えると、表紙がたわんで変形してしまう。
だから、出来たその日はガマンして、持ち帰ることはしません。

もう一つ、持ち帰らない切実な理由。
下手に持ち帰って、しげしげ読んだりしちゃったら最後、「絶対に」誤植(ミスプリント)が見つかるから。
出来たその日くらい、喜んだままでいたいですからね!


今日は、著者が見本を受けとるために、わざわざ社まで足を運んでくださいました。
こんなふうに、校正刷が出たり、見本ができたりすることを、一つ一つ喜んでくれる著者は、ほんとに嬉しい。
こっちも頑張るぞ、といつにもまして力が入ります。

良かった良かった!!

*****

前置きが長くなりましたが、昨日(2011年9月14日)、六本木の俳優座劇場で、オペラシアターこんにゃく座の公演、『ゴーゴリのハナ』を見てきました。

詳しいレビューは、いずれ、JAZZ TOKYO のほうに書かせていただく予定。

久しぶりだったし、ほんとに楽しかった。
こういうドライな不条理劇って、音楽芝居には非常に合っている気がした。
作曲(こんにゃく座代表・萩京子さん)がまた巧い。
「ハナ」という言葉の音をフルに生かした台詞・歌詞も、実に巧み。

かなり疲れてはいたのですが、飽きずに一気に観て、途中で何度笑ったことか。

日頃から稽古を積み重ねている役者さん(「うた役者」と主演の大石哲史さんは名乗っています)だけに、歌も動きも、アンサンブルがとても緻密によくかみ合って、すごいなと思いました。

役者ひとりひとりの「声」がそれぞれ個性的。
あたりまえのようだけど、クラシック音楽にどっぷりはまっていると、演ずる人の個性よりは「ソプラノ」「バリトン」といった声種のキャラクターとしてふさわしいかどうか、という視点が優先してしまう。
それはかえって不自然なことだ、ということに気づかされます。

出てくるひと、出てくるひと、みな声が違う。
その存在感、力強さ。新鮮でした。


これは、こんにゃく座40周年記念公演の1つ。

40年!!
すごいことです。
経済的にも、人間関係でも、数限りなく、いろんな困難があっただろうと思いますが。
音楽があったから続いてきた、のかもしれない、とふと思いました。


小学生のころ、学校の演劇教室で『セロ弾きのゴーシュ』を観た。
あれはこんにゃく座ではなかったか。

演じた人の名前はまったく覚えていないけれど、舞台の場景、役者さんの汗と息づかい、面白い音楽や、役者さんのおかしな表情、何よりも、その時の自分のワクワク感を、鮮明に覚えています。

こんな体験を小さい頃にさせてもらえて、ありがたいことです。


公演は19日まで。
「ハナ」、傑作ですよ。

http://www.konnyakuza.com/syusai.html
















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11-26 今井信子とヴォワラ・ヴィオラ! [コンサート]

台風が、来るぞ来るぞといいつつ、なかなか東京にはやってこなかったのですが……
だいぶ、風雨が強くなってきました。

お盆休みのあとまた猛烈に忙しくなり、夜の残業では足りなくなって、朝、早く会社に出るようになりました。
まったく、家には「帰って寝るだけ」。本当に、久しぶりのコンサートでした。

*****

代々木のハクジュホールで、ヴィオラの今井信子さんとその門下の若手演奏家たちの、ヴィオラばかり「八重奏」のコンサート。
主催はAMATI。

「ヴォワラ・ヴィオラ」というのは、「ヴィオラ召しませ」という意味です、とどこかで読んだ気がするのですが、チラシには、「これぞヴィオラ」とありました。
ヴィオラの響きとワザを堪能できるコンサート、ということかな?


前半は残念ながら仕事が長引いて聴けず。
西村朗さんの新作(東京初演)があったのに~;; これは聴きたかったな。

でも後半もなかなか多彩なプログラムで楽しめました。

お客さんのリクエストによる「サプライズ・コーナー」では4曲が披露されましたが、今井さんのソロによる「私を泣かせてください」(ヘンデル作/細川俊夫編)が聴けたのは嬉しかった。
これはBS朝日で放送された須賀敦子さんの番組(下記)でとても印象的に流れていた曲。
今井さんの著書『憧れ』にも、ミニCDとして付けられています。

エルサン(Hersant)の『カプリス』という曲(2009、日本初演)がすごく面白かったです。
それぞれ印象的なタイトルのついた小曲の組み合わせ。
才気と(たぶんこの作曲家はものすごく頭のいい、明晰な人なんだろうなぁ)、大人のユーモア、余裕を感じさせる佳品。


後半だけの短い時間だったけど、それでも、「この人いい!!」と耳をそばだててしまう演奏家には出会えるもので……
特にエルサン(デュオ作品)を弾いたウルリッヒ・アイヒェナウアーさん(ドイツ)とウェイティン・クオさん(台湾)。もっといろんな曲を聴いてみたいと思いました。

きっと他のひともそれぞれ光る個性の持ち主なのだろうと思いますが……聴けたのは後半だけだったので、お許しを。


それにしても、ヴィオラって、本当に、いい音ですね。
弦楽器を1つやるとしたら、ヴィオラがいいな。などと思っていますが、多分、無理だろうな~


*****

ところで、このブログの名義(ニックネーム)を新しくしました。
これは筆名で、時々、JAZZ TOKYO というサイトに、コンサート・レビューを書かせていただいています。
最近は忙しいこともあってあまり書いていないのですが、これからは、このサイトが更新されたら適宜お知らせするようにします。

*****

*「私を泣かせてください」が収録されているアルバム

祈り Blessing

祈り Blessing

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: エプソン
  • 発売日: 2007/05/30
  • メディア: CD



*須賀敦子さんの番組がDVDになったもの。これは映像も音楽も素晴らしいです。お金に余裕があったら買いたいとずっと思っているのですが……

須賀敦子 静かなる魂の旅---永久保存ボックス/DVD+愛蔵本

須賀敦子 静かなる魂の旅---永久保存ボックス/DVD+愛蔵本

  • 作者: 須賀 敦子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/09/09
  • メディア: 単行本



*今井さんの著書

今井信子 憧れ ヴィオラとともに

今井信子 憧れ ヴィオラとともに

  • 作者: 今井 信子
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2007/05/15
  • メディア: 単行本



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