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10-14 北村朋幹 リサイタル [コンサート]

2010年4月10日、トッパンホールで北村朋幹(ともき)さんのピアノ・リサイタルを聴く。
(主催:芸術教育企画 協賛:トッパンホール)

先日、「カザルスホール331」で、1986年生まれのチェリスト・横坂源さんの演奏を聴き、その若さに驚いたばかり。
なんと今日のリサイタル(!)は、1991年生まれ、今春、東京芸大に入学します、というピアニストである。

すでに15歳くらいからリサイタルやオケとの共演をしているのだという。
才能っていうのは、、、……と、あとは言葉になりません。
こんな子がこれから大学に入って、先生はいったい何を教えるんだろう??


冒頭、アルヴォ・ペルト「アリーナのために」から、すぐに、バッハのパルティータ(ニ長調第4番)に入る。

これだけで、この子、タダモノではないな~という予感。

ペルトのは、短く、本当にシンプルな曲で、音とその余韻、沈黙を味わう曲。

アルベニスが組曲「イベリア」の巻頭に「エボカシオン」という曲を置いていたのを思い出した。
エボカシオン(スペイン語)は、「霊の呼び寄せ」「招魂」という意味。

リサイタルの幕開けに、音楽の神を招き寄せる。
聴衆の注意を一気に、舞台のピアノ1台に引きつける。
ペルトの音楽は、そんな役割を果たしているように感じたのだ。

ベートーヴェンの「テンペスト」で前半を終え、後半はシューマンの「ショパンの夜想曲による変奏曲」と幻想曲。

とにかく、言いたいことをたくさん持っている音楽家という印象。
自分なりの考え、イメージをありったけ盛り込んで、けれど曲の骨格は決して踏み外さない。
大曲つづきのこのプログラムを、聴衆になんの不安も抱かせずに弾ききって、自分の音楽をきっちり聴かせた。
立派なリサイタル。


企画・主催は、ピアニストの故・園田高弘氏と春子夫人が始めた教育芸術企画。

「旬のピアニスト」を紹介するシリーズ(全8回)から、その後継の「Pianists」シリーズとして、これがすでに第11回。
これまでに、青柳晋、岡田将、田村響といった若い大器をピックアップして、リサイタル開催とCD発売(Evicaレーベル)の両面で世に送り出すという、貴重な役割を果たしてきた。

才能を見出す「目利き」のプロデューサーがいて、それをバックアップするホールがあって……

若い才能を祝福するとともに、主催者とそれを支える関係者たちの見識に思いを馳せて、とても気持ちの良い思いで帰路についた。


北村さんのソロCDはまだ出ていません。でも下記のCDで演奏が聴けるようです(筆者は未聴)。


第6回浜松国際ピアノコンクール2006

第6回浜松国際ピアノコンクール2006

  • アーティスト: ショパン/シューマン/リスト/徳山美奈子/ラフマニノフ/モーツァルト/プロコフィエフ/グバイドゥーリナ/ラヴェル/メシアン/バッハ/ドビュッシー/ストラヴィンスキー,沼尻竜典,東京交響楽団,アレクセイ・ゴルラッチ/セルゲイ・クズネツォフ/キム・テヒョン/北村朋幹/ワン・チュン/ニコライ・サラトフスキー/ディナーラ・ナジャーフォヴァ/クレア・フアンチ/イム・ヒョソン
  • 出版社/メーカー: ALM RECORDS
  • 発売日: 2007/07/07
  • メディア: CD



ぴあのピア Vol.9 フランス印象派~ドビュッシー&ラヴェル編

ぴあのピア Vol.9 フランス印象派~ドビュッシー&ラヴェル編

  • アーティスト: ドビュッシー,ラヴェル,アリシア・デ・ラローチャ,アンリエット・ピュイグ=ロジェ,フィリップ・アントルモン,ポール・クロスリー,ミシェル・ベロフ,中村紘子,北村朋幹,小山実稚恵,岡田将,東誠三,横山幸雄,永野英樹,田村緑,阿部裕之
  • 出版社/メーカー: (株)ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/11/28
  • メディア: CD



園田高弘さんと春子夫人については ↓自伝が出ています。


ピアニストその人生

ピアニストその人生

  • 作者: 園田 高弘
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 単行本



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