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11-5 『ヴェルサイユ宮殿に暮らす』 [本]

珍しく、どんより曇った日が続きます。

今週末は、原稿書きのために蟄居生活。
3本、頑張って仕上げたぞ! バンザイ!!
この2、3日、仕事が進まないのでウツ状態だったけど、ようやく……

さっぱりした気分でブログです。

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いま、読んでいるのはこんな本。

歴史家ウィリアム・リッチー・ニュートンという人が書いた
『ヴェルサイユ宮殿に暮らす 優雅で悲惨な宮廷生活』(北浦春香さん訳、白水社)

いやはやオソロシイ実態が、次から次へと「これでもか」と描かれていて、呆れるやら驚嘆するやら。

2010年6月(奥付は7月になっている)に初版が出て、私が入手したのは、9月の第3刷。
やはり興味をもつ人がたくさんいたらしい。

いま第3章の「水」の項を読んでいますが、水といえば、トイレ、お風呂。
あの時代の宮廷の人たちは一体どうしていたのやら。
考えてみれば当たり前だけど、なるほどそんなことになっていたのか~ と目からウロコの事実が続々。

なんでこんな本を読んでいるかというと……
この宮殿のなかに音楽家たちも住んでいたわけで、彼らの音楽活動の背景にあるものを知ることができる、と思ったからです。

今のところ、(残念ながら)直接、音楽家に言及している箇所は出てきていませんが。
当時の音楽家たちは、従僕、女官、近衛兵、厩舎担当、そういう人たちと同じクラスの「宮廷勤務」の人だったわけですから、だいたいの暮らしぶりは察することができます。


ヴェルサイユ宮には行ったことがあり、壮麗なあの庭園の噴水が、実は給水が貧弱で質が悪く、美しいけどニオイはひどかった、という話は聴いていました。

この本を読むと、非常な苦労をして遠くからはるばる宮殿と市街に水を引いていたらしい。
生活用水も事欠くなかで、噴水造営にかけたルイ14世の執念たるや、いやはやものすごい。
王様のその執念に応えるべく、驚くほどの金と人を実際に動かすことができたというのも、ものすごい。

絶対王政が頂点を極めた時代。
現在の我々がイメージするような「権力者‐庶民」の関係とは、ずいぶん違う社会と文化があったらしい。
トイレだの料理だの、そんな日常の事実を見ることで、しみじみそれが理解できます。


もとは学術書なので、一般の人にも読める造本にはしてあるもの、決してすいすい読める本ではなく、読み続けるのにちょっとした忍耐心が必要です。
(ただし現金なもので、トイレや風呂とか、王様と愛人との生活はどうであったか、みたいな下世話な話になると、がぜん、読むスピードが早くなる;;)

校正が甘かったり、訳文が日本語としては今ひとつ、といったところもあったりはするのですが……

でもこういう本は、本当に、翻訳をするのは大変。
異国の、それも遙か昔の官職名を、現代日本の読者にもイメージしやすい訳語に置き換えるだけでも、非常な苦労をしたはず。
それを思えば、少々の欠点をあげつらう気にはなれません。
よくぞ訳してくださいました。


書く方も訳す方も、報われることの少ない、割に合わない仕事と思う。
こういう本をネタ本にして、もっと面白く読みやすく、「売れる」本を書く人はいっぱいいるけれど……

溜息をつきつつ、営々としてこういう仕事を続けている人たちこそ、ちゃんと評価される社会であってほしい。
なんて。話を大きくしすぎですね。ついつい;;


ところで、この本を読みながら聴いているのは、下記のCDです。
「偉大なる世紀」、まさに、ルイ14世の時代に活躍した作曲家たちの音楽。
彼らも、このヴェルサイユ宮を歩き、食事をし、王様と言葉を交わしながら音楽をしていたんですね。

これはずっと以前から愛聴している素敵なCDなので、いつかまた改めて紹介したいです。



ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活

ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活

  • 作者: ウィリアム リッチー ニュートン
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: 単行本



偉大なる世紀のフルート音楽

偉大なる世紀のフルート音楽

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2009/12/23
  • メディア: CD



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